フリーターは自由が多く、労働時間を増やせば充分生活ができる働き方です。しかし、長い人生を考えた場合、フリーターには年齢的な限界があると言えるでしょう。
今回は、フリーターは何歳まで許されるのか、理由と一緒に解説します。
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フリーターは何歳まで許される?
「フリーターでも自分の稼ぎで生活しているんだからいいじゃないか」と思えるのは、あなたがまだ若くて元気だからでしょう。
今の状況がずっと続くと考えるのは、非常にリスクが高いです。年を重ねれば健康や環境など、あなたを取り巻く状況は変化します。
では、フリーターは何歳まで許されるのでしょうか。男女別に解説していきましょう。
男性フリーターの限界年齢は30歳
正社員の職歴なしで男性がフリーターでいられる限界年齢は30歳。厳密に言うと30歳になる直前までです。
なぜなら30代からは、フリーターが正社員に就職するハードルが一気に上がってしまうから。
20代フリーターは「まだこれから成長が見込める年齢で、フリーターをして人生を模索するのが許される世代」です。
一方、30代になると「20代何も考えてこなかった結果」と捉えられがちなのです。
もちろん、30代でもフリーターの男性は存在します。しかし状況は過酷と言えるでしょう。
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女性フリーターの限界年齢も30歳
「女性ならば、最終的には結婚して夫に養ってもらえばいいんだから、何歳でもフリーターでいられるでしょう」と思うかもしれません。
しかし、今や専業主婦は夢の職業。令和元年の共働き世帯数は1,245万世帯に対し、専業主婦世帯は582万世帯と大きく下回っています。男性も結婚相手に働くスキルを求める時代です。
また、晩婚化、非婚化も進んでいます。国立社会保障・人口問題研究所によると、2035年の生涯未婚率は男性が29.0%、女性も19.2%と推測されています。専業主婦になれないとは限りませんが、一発逆転に欠けるのはあまりにもリスクが高いです。
女性も仕事に対する条件は男性と同じと考え、「フリーターは30歳になるまで」と認識するのが妥当でしょう。
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フリーターの限界年齢が30歳の理由
- 就職難易度があがる
- 体力が衰えてくる
- 結婚の不安を感じる
- お金の心配が増えてくる
- 社会的信用が必要になる
それぞれ詳しくみてみましょう。
① 就職難易度があがる
フリーターの30歳限界説の最も大きな理由は、就職難易度が格段に上がるからです。
フリーター歴が長くなればなるほど、企業側からの心象は悪くなる傾向です。
厚生労働省が作成した広報資料では、フリーター経験を評価しない企業の理由について、以下のようにまとめられています。
フリーター経験を評価しない企業の企業規模別理由割合(n=1288)
- 根気がなくいつ辞めるかわからない:71.7%
- 年齢相応の技能、知識がない:47.5%
- 職業に対する意識などの教育が必要:44.9%
- 責任感がない:43.5%
- 組織になじみにくい:38.1%
- 人物像がつかみにくい:25.9%
- 入社時の格付け、配置が難しい:20.0%
引用:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000105821.pdf
出典:厚生労働省「正社員?フリーター?何が違うの??~将来の進路について悩んでいる方へ~」
もちろん、フリーターを職歴として評価する企業もあります。
しかし、フリーター歴が長くなればなるほど、企業が納得する「今までフリーターだった理由」が必要です。
それを差し引いても、20代と30代では企業が抱くイメージがガラリと変わるため、就職を考えると30歳がフリーターの限界と言えます。
② 体力が衰えてくる
年とともに体力は衰えるものです。無理な働き方をすれば体を壊すリスクが高まります。
体調を崩して休めば、時給で働くアルバイトは収入が途絶えてしまいます。
体力的に下り坂に差し掛かる30歳以降、時給制のアルバイトはハイリスクです。
10代から20代は体力も気力も上り調子の絶好調期。アルバイトの掛け持ちをして、「正社員の友達より年収が高い」という人も少なくありません。
しかし、今後何十年も同じような働き方はできないと考えた方が良いでしょう。
③ 結婚の不安を感じる
結婚願望がある場合、フリーターで結婚するハードルの高さにいつか直面し、「このままでは結婚できないかもしれない」と不安を強く感じるときがくるでしょう。
結婚は生活なので、最低限の収入が求められます。そして、多くの人は「最低限の収入をフリーターで維持するのは無謀」と考えます。
特に女性は結婚相手に経済的安定を求めるため、フリーターの男性が結婚するのは難しいです。
また、今時は男性の共働き志向も高まっています。育児も家事も分担する代わりに、妻にもフルタイムで働いてほしい、ある程度の収入を得てほしいと希望する男性は増えているのです。
女性でも「フリーター」が結婚の障害になる可能性があります。
④ お金の心配が増えてくる
時給で働くフリーターは、長く仕事を続けても大幅な年収アップは見込めません。
正社員と比較すると、各種手当や賞与がない割合も高く、年齢が上がるほど同年代の正社員との収入格差は広がるのが現実です。
フリーターは退職金がないケースも非常に多く、自転車操業と言えます。
そのため、年齢が上がり健康不安が出ると、お金の心配が一気に増えてしまいます。
30歳以降もフリーターでの生活は可能ですが、長い目で見た場合、元気に働けて就職の窓口も広い20代の内に、フリーターから脱却するのが理想です。
⑤ 社会的信用が必要になる
厳しい現実ですが、フリーターは社会的信用がありません。
フリーターでローンを組めるのは非常に稀。車やマイホームの購入をしたくても、ローンの審査がまず通りません。
また、フリーターの場合、賃貸物件に住む際には、社会的に信用がある人を保証人に立てる必要があります。
多くは親が保証人となるでしょうが、定年後はどうなるかわかりません。
また、年齢から見ても親が必ず先に旅立ちます。親亡き後もフリーターだった場合、何の後ろ盾もない弱者の立場で世間に放り出されることになります。
社会的信用が必要になる前、できれば20代の内に正社員になった方が、安心材料を増やせます。
30歳を超えると就職難易度があがる理由
「30代を超えると就職難易度があがる」と言われても、いまいちピンと来ないかもしれません。
そこで、30歳以降の就職が難しくなる理由を詳しく解説します。
同じ新人なら若者を採用したい
企業は定年まで働いてほしいという気持ちで正社員を採用します。正社員を採用するにはコストがかかり、更に入社後は教育費用も必要です。
それでも正社員を雇うのは、長期的に働いて企業に大きな利益を還元してもらうため。企業としては1日でも多く働いてくれる方が、コスパが良いと言えるのです。
「同じ新人なら若者を採用したい」というのは、企業当然の希望でしょう。
「未経験者歓迎・年齢不問」の求人は多いですが、年齢が上がるほど競争相手は若くなり、その分就職が不利になります。
20代と30代では、企業が抱くイメージも大きく変わるため、30歳以降のフリーターは苦しくなるのです。
同じ年齢なら即戦力を採用したい
もちろん、30歳以降の人材を正社員として雇う企業も多いです。
しかし、30代は「ある程度経験を重ねている」という前提で見られます。全くの異業種でも、社会人としての常識やビジネスマナーは、一通り習得しているのが当たり前です。
それに加えて、即戦力が求められます。技術的に特殊な職種は、30歳以降の就職でも入社後の研修もしっかり行ってくれますが、社会人スキルは習得済みが前提です。新卒新入社員の研修とは大きく中身が異なります。
30歳以降になると、就職の競争相手は「正社員からの転職組」が増えます。フリーターと比較すると、正社員の方が企業からの教育を受ける機会が多く、採用側から見てもフリーターより魅力的に映るでしょう。
30歳以降のフリーターの就職は、自分だけの強みや売りがない限り、相当厳しくなるのです。
20代のうちに一度は正社員就職の経験がおすすめ
フリーターは自分の意思で働き方をいつでも変えられる自由さが魅力です。
しかし、若さの勢いでフリーターを続けていると、「気が付いたら30代で八方ふさがり」になるかもしれません。
未来の可能性を広げるためにも、20代のうちに一度は正社員として就職すべきです。その理由を詳しく解説していきましょう。
就職経験のある30代は再就職しやすい
一度でも正社員として就職し、一定期間(2~3年)働いた経験がある場合、ずっとフリーターよりも再就職しやすくなります。
同業種、あるいは同業界なら、更に有利です。正社員とフリーターでは任される仕事に差があり、社会的信用も大きく違うのです。
職歴を増やして「再就職」という将来の選択肢を増やすためにも、就職しやすい20代のうちに、一度は正社員の経験をしておいた方が良いでしょう。
仕事の得意、不得意を理解できる
「百聞は一見に如かず」ということわざがあるように、経験しなければわからないことは多いです。
「自分は正社員に向かない」と思っていても、いざ経験したら意外と向いているかもしれません。
もちろん、全く向いていない可能性もありますが、体験したからこそ「本当に無理」と理解し、別の道について真剣に考えるきっかけになります。
早いタイミングで自分の適性を知るのは、人生にとって大きなプラスです。
まだ若い20代だからこそ、社会を知るために正社員就職するメリットは大きくなります。
退職してフリーターに戻れる
正社員になっても、一生その会社で働かなければいけないわけではありません。
「正社員無理だったから退職してフリーターに戻る」という選択肢は、いつでもあなたの手の中にあります。フリーターの立場のまま職を変えるのと、一体何が違うのでしょうか。
大学新卒者でも、入社1年目で10人に1人が退職する時代。あなたが思っているよりもずっと、正社員のハードルは低いのです。
「いつでもフリーターに戻れる」という安心感と共に、20代の内に一度は正社員就職をしてみましょう。
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30歳までに一度も正社員就職しないデメリット
20代のうちに正社員就職をおすすめするのは、「正社員就職しないデメリット」が思いのほか大きいからです。
一度も正社員就職しないデメリットについて解説します。
自分の適職がわからなくなる
フリーターで職を転々とした場合、「手っ取り早く働ける職」を選びがちです。
深く考えず、時給や時間帯などで選ぶため、似たような職種を重ねるようになります。
しかも、責任が重い仕事は正社員が行います。フリーターは気楽である反面、仕事の重みや、責任があるからこそのやりがいに乏しく、本当の意味での適職がわからなくなるのです。
「自分はどんな人間で、なにが向いているのか」を知るのは、人生を豊かにするためにとても重要です。
生きていくために収入は不可欠のため、人生と仕事は切っても切れない関係です。適職がわからないまま年を重ねるのは、あなたにとって大きなデメリットとなります。
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年齢を重ねる度に不安が大きくなる
20代のうちはフリーター仲間も多いでしょう。あなたも健康で体力があるため、「フリーターでも充分楽しく生きていける」と、自信に満ちているかもしれません。
しかし、年を重ねると共に環境は変化し、不安は大きくなります。例えば、「フリーター仲間」は、今後確実に減っていくでしょう。年齢が上がると、以下のデータが示す通り、正社員になる人は増えていきます。
表 13 性、年齢階級・在学の有無・最終学歴、雇用・就業形態別若年労働者割合
「正社員以外の労働者」の割合【男性】
・15-19歳:33.5%
・20-24歳:26.4%
・25-29歳:17.6%
・30-34歳:17.7%【女性】
・15-19歳:39.3%
・20-24歳:29.4%
・25-29歳:35.7%
・30-34歳:54.1%引用:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/4-21c-jyakunenkoyou-h30_gaikyou.pdf
出典:厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査の概況」
女性の場合、結婚して正社員から非正規となるケースが多いですが、男性は年齢が上がると正社員以外の労働者の割合が減っていきます。
25-29歳と30-34歳の値に差がない点から、30歳以降の正社員就職の困難さも見てとれるでしょう。
これに加えて、「健康面での不安」「結婚への不安」「親の介護の不安」など、年を重ねるにつれて確実に不安材料は増えていきます。
まとめ
フリーターでも生活できるし、自由をそれなりに満喫していると、就職活動に対して腰が重くなるものです。
しかし、何も考えずにフリーターを続けて、30歳になってから「もっと頑張れば良かった」と後悔しても時間は取り戻せません。
行動を起こすにはエネルギーが必要ですが、可能性を広げるためにも、正社員の就職活動を始めましょう。